夏のマルシェでノルウェーから来た二人に、折り紙の蝶を贈った話

紙のはなし

久しぶりに出店した、夏の野外マルシェ。

暑さの厳しい一日でしたが、そこでノルウェーから日本を訪れていた二人が、私のブースに立ち寄ってくれました。

英語は片言でしたが、表情や身振りも交えながら、目の前で小さな蝶を折る楽しい時間を過ごすことができました。

今回は、折り紙を通して、遠い国から来た二人と小さな交流が生まれた日のことを残しておきたいと思います。

ノルウェーから来た二人に、折り紙を見せたくなった

二人がノルウェーから来たと聞いた時、せっかくなら折り紙を見てもらいたいと思いました。

日本では身近な折り紙ですが、海外では、紙一枚が目の前で少しずつ形を変えていくところを見る機会は、あまり多くないのではないかと思ったのです。

完成した作品だけでなく、ただの一枚の紙から形が生まれていくところも、折り紙の面白さのひとつです。

そこで、持っていた7.5cmの千羽鶴用折り紙を使い、小さな蝶を折ることにしました。完成すると、3〜4cmほどの大きさになります。

私のちょっとした気まぐれでしたし、販売するつもりもなく、ただ喜んでもらえたらいいなと思っていました。

紙一枚が蝶になるまでを、動画で見てくれた

蝶を折るのにかかった時間は、5分ほどでした。

折り始めると、彼氏さんがスマートフォンをこちらへ向け、こちらの目を見ました。

「動画を撮ってもいい?」という意味かなと思い、うなずくと、紙が少しずつ形を変えていく様子を撮りながら、じっと見てくれていました。

実は、少し緊張していました。

普段の折り紙は自分の手元を見ながら折ります。でも、カメラに向けて折ろうとすると、見せることを意識して手の向きや目線が変わります。

思っていたより難しいなと思いながら、それでも楽しそうに見てくれている様子が嬉しくて、私も楽しく折っていました。

その間、彼女さんはブースに並んだ商品を楽しそうに見ていました。

彼氏さんは折り紙が形になっていく過程を、彼女さんは並んでいる作品を。それぞれの楽しみ方で、マルシェの時間を過ごしてくれているようでした。

片言の英語でも、会話は意外と成立した

私は英語が得意というわけではありません。感覚としては、英検3級くらいの片言英語です。

それでも、「少し待ってね」「今何時?」といった簡単な言葉と、表情や身振り、ジェスチャーを交えながら、思った以上に会話ができていました。

途中で、「ノルウェー語でこんにちはは何て言うの?」と聞いてみると、二人は笑顔で「Hi♪」と答えてくれました。

あとで調べてみると、ノルウェー語の「こんにちは」は「Hei(ハイ)」と言うそうです。なるほど、たしかにほとんどそのままです。

ブースをシェアしていた相方には、私がずいぶん英語を話しているように見えたらしく、あとで驚かれました。

でも実際は、たくさん話していたわけではありません。

相手の表情を見て、状況を見て、「たぶんこういうことかな」と察しながら返していただけです。

それでも、言葉が少なくても、相手が何を伝えたいのかを考え合えば、案外会話は成立するものなんだなと感じました。

「How much?」と聞かれたあとに出てきた500円

小さな蝶が完成して二人に見せると、驚いた表情で喜んでくれました。

私が期待していたとおりの、明るくてうれしい反応でした。

すると彼女さんが、蝶を見ながら「How much?」と尋ねました。

もともと売るつもりで折ったものではなかったので、私は「Present for you」と伝えました。

すると彼女さんは、小さなポーチの中から500円玉を一枚取り出し、私に差し出してくれました。

プレゼントのつもりだったので、受け取るかどうか一瞬迷いました。

遠い国の人に見てもらえたことが、少し嬉しかった

話をしていると、ノルウェーはその頃17度くらいだと教えてくれました。

こちらは蒸し暑い真夏のマルシェです。

他のブースでも、「この暑さは大丈夫?」と心配されていたくらいなので、日本の夏はなかなか大変だったと思います。

そんな遠い国から日本まで来て、松阪のマルシェを楽しんでくれていることが、なんだか嬉しく感じました。

私自身、異文化に触れることは好きですし、こういう出会いは楽しいものです。

それに、ノルウェーと聞くと、私は工芸や細工物が盛んな国というイメージがあります。

そんな国から来た人が、私の折り紙や作品に興味を持ってくれたことは、とても光栄なことでした。

気持ちを伝えるために、お金を使うということ

あの500円は、私には蝶の代金という感じがしませんでした。

迷った末、私はその500円玉を受け取りました。

私が折り紙で気持ちを伝えたように、二人は500円で気持ちを返してくれた。

それも、とても自然に、きれいに、お金に気持ちを乗せて。

日本では、お金は「支払うもの」「受け取るもの」と考えることが多いように思います。

でもあの日、私は少し違うお金の使い方を見せてもらいました。

気持ちを伝えるために、お金を使う。

それはとても気持ちがよくて、なんだか格好いいコミュニケーションだなと思ったのです。

日本で折った小さな蝶は、今ごろノルウェーへ飛んでいっているのかもしれません。

そう思うと、少し嬉しくなります。

遠い国から来た二人と、松阪の小さなマルシェで過ごした、ほんの数分間。

それでも、忘れられない時間になりました。

日本で折った小さな蝶は、今ごろノルウェーへ飛んでいっているのかもしれません。

そう思うと、少し嬉しくなります。

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